こんにちは。株式会社Careerchipsの宗俊です。
本記事では4月に新入社員を受け入れたものの、うまく育成ができていない、
育成の仕方が分からない方向けに2023年の新卒社員の取り扱い方というテーマを2部構成でお届けしたいと思います。
※別サイトに元々投稿していた記事のため時期間が多少遅れているかとは思いますが、
色々やってみたものの今ひとつ・・とお悩みの方々にご覧いただけましたら幸いです。
注意①: 本記事はあくまでも一般論としてお送りさせていただきます。
世代の特徴を理解し、1人ひとりの個性も加味した上で指導いただけますようお願いいたします。
毎年新入社員の傾向を発表している産労総合研究所の「2024年度(令和6年度)新入社員のタイプ」によると、
2024年度の新入社員の傾向は「可能性は∞(無限大)AIチャットボットタイプ」と一言定義されています。
"新型コロナウイルス感染症の猛威のなか、大学生活のほとんどをオンラインのカリキュラムで過ごした今年の新入社員。
インターンシップや就職活動もオンラインでの選考がごく自然に盛り込まれ、
むしろ対面での機会を増やそうという流れの中で入社を迎えた彼らは、対面でのコミュニケーション不足から、
こちらに特別意図のない発言やしぐさでも、ストレスに感じてしまうことがある。
一方で、知らないことがあればその場でごく自然に検索を始めるデジタルネイティブ世代である彼らは、
さまざまなツールを扱い答えを導き出すことにかけては、すでに高いスキルをもっている。
AIチャットボットが適切なデータを取得することで進化していくように、
彼らは適切なアドバイスを受けることで、想定を超える成果を発揮する可能性に満ちている。"
(産労総合研究所: 2023年度 新入社員のタイプ )
まとめると、2024年度の新入社員は以下の傾向に集約されます。
・学生時代に日本社会の苦しいところを目の当たりにしながら育ったため、理想ではなく現実や安定に関心が高い
・幼少期からデジタルが身近にあったことに加え、withコロナの中で就職活動を行ってきたため、
自身のオンライン上での見せ方や作業の効率化といったに優れている
・いかに効率的に良い結果を得られるかに関心が高くなったため、ChatGPTをはじめとしたAIやBI関連ツールを使いこなせる
次項では、2024年度の新入社員が過ごしてきた時代背景を振り返りながら、
価値観がどのように形成されてきたのかを深掘りしていきます。
当たり前ですが人はそれぞれ違う価値観や考え方を持っています。
ですが過ごしてきた時代背景や社会の出来事による影響によって、
世代事に似たような価値観が形成されるということは珍しくありません。
とある曲の歌詞を引用すると・・
「育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ」
が、
「育ってきた時代背景が違うから好き嫌いはイナメナイ」
に変わるわけです。
新入社員に限定せず特定の人物を決めて育成する際は、
その人物の時代背景を理解しどのようにアプローチするか設計していくことが有効であると言われています。
上記の表は、新入社員世代が幼少期からどのような時代背景のもとに過ごしてきたかをまとめたものです。
ここからは、時代背景を加味した2024年度の新入社員の特徴をお伝えしていきます。
特徴①とりあえずやる、は意味不明
新卒で入社した会社に定年まで勤務することを前提としたキャリア形成の価値観はすでに完全になくなっているとも言えます。
働き方においてこれまで主流だったメンバーシップ型から徐々にジョブ型にシフトしている通り、
会社が描き提供するキャリアパスに沿って日々を過ごすことに高い関心はなく、
自分が”何者”になりたいのかを追求することを重要視しています。
既に20代を中心にジョブ型思考が進んでいることもあり、
中途採用においても年齢が若いうちに職歴が既に数社あるといった転職層も増えています。
会社に与えられたキャリアパスを進むのではなく、
会社は自分の人生を作り上げる一部であることの象徴であると考えています。
このような世代の特徴的な考え方がある中で(個人のキャリア>会社への帰属意識)、企業はその価値観(考え方)を理解し、
個人 x 自社に基づき1人ひとりのキャリア設計を共に考えられるかが早期離職を防ぐことに繋がります。
特徴②ハイリスクハイリターンよりもローリスクローリターン
これまでの社員との一番の大きな差は経験前学習と経験後学習の違いです。
特に今期の新入社員を始めとした所謂Z世代は「大きな成功を得るために失敗しても何度も挑戦する」の考え方ではなく、
事前準備に時間をかけ失敗することを避ける傾向にあります。
一言で説明すると、「成功を得る」よりも「失敗しない」が脳内の優先順位として圧倒的に高いということです。
経験前学習: エラー(失敗)を避け、成功確率を最大化した上で施策に取り組む(リスク回避)
経験後学習: まずはやってみて、経験した成功/失敗を基に次なる施策に活かす(トライ&エラー)
特徴③人前では褒められも,怒られもされたくない
Z世代 = 同調志向 x 他人からの評価に敏感、であることもこの世代の大きな特徴と言えます。
SNSなどを経由してコミュニケーションをとる世代であるため、多様な価値観に対する理解があります。
そのうえで、自分の考えにマッチする価値観に興味を持ちやすいといえます。
一方で、周囲から浮きたくないという同調志向もあり、SNS中心の生活における承認欲求などの観点から、
他人の評価を気にする傾向にあります。また、両親との関係性などを含め、
第三者から認められたいと感じる人が多い特徴もあります。
これはSNS上の炎上などもリアルタイムで見ているため、
他者とのつながりを重視する一方で、評価に敏感な面も持ち合わせています。
また自由且つ匿名で自身の感想や思いをSNS上で発信できるため、
誰か分からない相手に恐らく自分のことを言っているであろうことを投稿されることにも大きな恐怖を感じています。
リクルートソリューションズマネジメントの調査では、
2021年の新入社員へ「あなたが上司に期待することは?」という質問を行い下記のような特徴的な回答が集まっていました。
1位: 相手の意見や考え方に耳を傾けること
2位: 一人ひとりに対して丁寧に指導すること
3位: 好き嫌いで判断をしないこと
4位: よいこと・よい仕事をほめること
要約すると・・・
不特定多数の人間がいないプライベートな空間で、
個人の意見もしっかりと聞いた上で、
好みを挟まずに私自身のことを正当に評価してほしい
2024年入社の新入社員はオンライン生活が当たり前の世代。
入社後はこれまで当たり前だったオンライン生活からオフライン生活が基本となるため、
先輩社員と新入社員では当たり前や常識が大きく異なっていることが明確になります。
そのため、企業はこれまでの育成ノウハウを今期の新入社員向けにバージョンアップさせる必要があります。
「当たり前」の違いの例として、人格形成に大きな影響をもたらす大学生活の過ごし方がこれまでと大きく違うということです。コロナ前の大学在学時の過ごし方としてはキャンパスでサークルやゼミで人と過ごす割合が比較的高かったことに対し、
コロナ禍で大学生活をスタートさせた現新入社員は学生生活も就職活動もオンラインがメインとなっています。
また現在の大学生は高い確率で学生1人ひとりが自分のパソコンを持っておりITが身近にある世界で生きてきました。
※当社には直近2年で6名のインターン生に活躍いただきましたが全員が自分のパソコンを持っていました。
今期の新入社員は「デジタルな世界 x 非日常の世界を過ごした世代」とも言えます。
幼少期より現在でも使われているデバイスやツール(例:iPhoneやSNS)に触れ、震災やコロナも学生時代に経験しました。
彼/彼女たちにとってオンラインの世界は身近なものであり、オフラインの世界での立ち回りはまだまだ勉強中です。
よって受け入れる企業には、新入社員が持つ強みを最大限に生かし、
「知らないことは、非難するのではなく、教えていく」ということが求められます。
後編では今期の新入社員の特徴を3つに分類し解説と指導のポイントを細かくお伝えいたします。
是非後編も最後までお読みいただけたら幸いです。